、り ん
ち りん
遠くから、聞き覚えのある音色が鳴り響く。
マズい―と思った。
その音はこちらのものではないから。
火を放った時に
街を壊した時に
常に「彼」と共にあったものだから。
一度きっかけを与えようものなら、それは容赦なくこちらの意図に反して溢れ出る。
早く目覚めなければ。
文字通りの氾濫。
押し潰されてしまう前に早く目覚めなければ!
―!!!
ばっと身を起こそうとした身体は固く、自分が既に起き上がっている状態に気が付く。
同時に、体が暖かい。
暖かいものに包まれていて、無意識の内に涙が一筋流れ落ちていた。
「―何してんの、お前」
「だっこ」
優しい声でいて、それでいて何故だか亘までもが泣きそうだった。
「何でお前が…」
「僕が悪夢にうなされていた時、母さんが力いっぱい抱き締めてくれたんだ」
「…そんなにうなされていたのか?」
うううん、と亘は頭を振る。
そのまま腕の力を緩めずに。
「何だか美鶴が『助けて』って言ってる気がしたんだ」
脳内テレパシーで繋がってるのかよ。
かもね、へへへと笑った亘に美鶴は確かめるようにその腕を握り返す。
まだ、こちらと繋がっている内は大丈夫だから。